つばさホールディングス株式会社では、5つの物流会社を支援しています。
近年、物流業界では「2024年問題」という大きな課題に直面しました。
名前は聞いたことあるけど…という方は詳しく解説しているので是非ご覧ください！
この記事は前編です。
物流2024年問題とは
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制と改正した改善基準告示(※)が適用され、
労働時間が短くなることで輸送能力が不足する問題のこと。
簡単に言うと、トラックドライバーの労働時間が減ることで
「モノが運べなくなったり、届かなくなったりする」可能性があるということです。
※自動車運転者の労働時間や休息時間等を改善するための基準
2024年問題が発生した背景
社会全体として、働き手の減少と長時間労働の常態化という社会問題に対応する必要がありました。そのため、働き方改革関連法が制定され、2019年に施行しました。
物流業界も例外ではなく、自動車運転業務は5年間の猶予を経て2024年に施行されました。
働き方改革関連法により残業時間の規制がされ、労働時間が減少。
トラックドライバーの長時間労働によって成り立っていた物流業界は、「輸送能力が低下」することになりました。
長時間労働の原因には、リードタイム（※1）の短さ、荷待ち時間（※2）の長さや渋滞による労働時間の延長があります。
※1 商品の発注から顧客に届くまでの時間。
※2 トラックが荷物の積み下ろしのために、物流拠点などで待機してる時間。
法改正の内容
| 令和6年4月以前 | 令和6年4月以降 | |
| 時間外労働の上限 (労働基準法) | なし | 年960時間 |
| 拘束時間 (労働時間＋休憩時間) (改善基準告示) | 【１日あたり】 原則13時間以内、最大16時間以内 ※15時間超は１週間２回以内 【１ヶ月あたり】 原則、293時間以内。ただし、労使協定により、 年3,516時間を超えない範囲内で320時間まで延長可 | 【１日あたり】 ・ 原則13時間以内、最大15時間以内。 ・ 宿泊を伴う長距離運行は週2回まで16時間 ※14時間超は1週間2回以内 【１ヶ月あたり】 原則、284時間、年3,300時間以内。 ただし、 労使協定(※)により、年3,400時間を超えない範囲内で310時間まで延長可。 |
※労使協定とは労働者と使用者間で取り交わされる書面契約のこと
国土交通省「物流の2024年問題について」より
時間外労働の規制を月に分けると、1ヵ月80時間になります。
つまり所定労働時間が8時間として1日あたり4時間の時間外労働で月に22日稼働すると、
月の時間外労働の上限規制目安を超えてしまいます。
企業側は、今まで以上に労働時間の管理が求められることになります。
2024年問題における物流への影響
【事業者側】
時間外労働の規制や休息期間の変更により、労働時間が減少し、売り上げが減少します。
労働量が直接売り上げにかかわるので、影響が出やすくなります。
トラックドライバーも残業をする時間が少なくなるので結果的に収入が減少します。
【荷主側】
事業者側が売り上げの減少を運賃増でカバーするために運賃交渉を行います。
値上げをすると送料無料や翌日配達など、今まで通りのサービスが維持できなくなります。
また、時間外労働の規制や人手が足りない影響で、今まで通りの輸送スピードが維持できなくなる可能性もあります。
今後の対応
・事業者側
【人材確保】
時間外労働の規制により、一人当たりの売り上げは減少します。
売上を維持していくには、人材確保が必要です。
物流業界は人手不足なので、「社内の福利厚生を整える」「働き方を柔軟に変えることができる」など他社とは差別化した求人を出すことがポイントです。
【広報活動】
業界について理解してもらえるような活動をして、物流業界だけの問題ではなく社会全体の問題として消費者に理解してもらうことが重要です。
【配送管理のDX化】
配車表のAI作成や渋滞予測を取り入れた運行管理で、生産性を向上させます。
・荷主側
【モーダルシフト】
現在、トラックで配送を行っているものを
海運や鉄道に切り替えることでトラック輸送の負担を減らします。
【トラックバースの予約システム導入】
トラックバース(※)での待機時間によって拘束時間が増えてしまいます。
予約システムを導入することで、荷待ち時間を減らし回転率を上げ、拘束時間の短縮を目指します。
※物流倉庫のトラックが荷物の積み下ろしをする場所。
まとめ
2024年問題は、「モノが運べなくなる」という大きな課題です。しかし労働環境を良くする大きなきっかけでもあります。多くの企業が対応に苦慮していますが、「モノが届く」という当たり前を支えるために日々努力しています。
後編の記事では、2024年問題を踏まえた現場の声をお届けします！
