国内を代表する経営者や著名人がアーティストと対談するラジオ番組「PRESIDENT STATION」に、立川市のつばさホールディングス株式会社(以下、つばさホールディングス)の猪股代表が出演しました。パーソナリティは松下政経塾塾頭の金子一也氏、オペラ歌手の川越塔子氏。TOKYO FMでは毎週日曜20時から配信しています。オウンドメディアflapWebでは放送の抜粋をお届けします。
自ら燃え周りに火をつける人財が育つ企業風土に
川越)猪股浩行さんをご紹介します。新潟県新潟市生まれの54歳。物流関連の企業を中心に東京多摩地域で展開するつばさホールディングスの代表取締役です。
金子)HPに書かれていた自ら燃える人「自燃人」という言葉について、作られた経緯をご説明いただけますか。
猪股)物流ではトラックが動いて商売をしているかのごとく見られがちですが、運転するドライバー一人ひとりの想い、送り出す人の想いがあり、人が集まって成り立っています。身体でいうと動脈や静脈の部分です。表には出ませんが社会のインフラを支える人たちが、自分で考え行動し周りに火をつけていく人であって欲しいと「自燃人」と表現しています。
金子)自分で燃やして他の人にも火を灯している。松下政経塾の松下幸之助さんの言う「我が社は人を作っている」につながる考え方ですね。物を運ぶだけでなく心を運んでいると。
猪股)実践できているかどうかの評価は周りがするものですが、まず自分が周りの人を良い方向に感化できる人になりたいと思ってやっています。
川越)社名の「つばさ」という名前にはどんな意味があるのでしょうか。今日つばさの形のバッジも着けていますね。
猪股)渡り鳥のV字編隊飛行というキーワードがありまして、群れをなすことで一羽で飛ぶよりも長距離飛行が可能になると言われています。また一羽だけが先頭に立つのではなく、先頭を入れ替えながら飛ぶことも重要です。
金子)会社でいうなら一人のカリスマ経営者が率いるトップダウンでなく、ボトムアップ型ですね。
猪股)おっしゃる通りです。
全員経営を目指した理念浸透
金子)本日収録スタジオにお持ちになっている「つばさレシピ」についてお聞きします。これは料理本ではないんですね(笑)。
川越)パスポートくらいの冊子ですね。
猪股)誰が作っても同じ味になるレシピのように、グループ使命感や理念、先ほどの「自燃人」を含めた行動指針などが書いてあります。日々目の前にある現実や不測の事態の対応に追われても、目指すところはここにあるよねと立ち返る場所にしています。グループ会社を含めた全従業員が携帯しています。
金子)熟読するために、何か使い方のしかけはあるのでしょうか?
猪股)事あるごとに開くようにしますが、週に一度「レシピ浸透朝礼」というのを行っています。担当が入れ替わり「つばさレシピ」の一文を引用してスピーチを行います。新卒社員が中心となって運営し、どうやったら書かれていることが浸透するか検証しながら進めています。
金子)松下政経塾を作った松下幸之助さんが昭和7年に「一人ひとりが経営者なんだ」と言っています。仕事を細分化していきみんなが経営者の感覚を持つためにされたことが、経営理念を作り朝礼で唱和したと。やられていることが同じですね。しかし、理念の浸透て難しいですよね。
猪股)自分が自燃人なので、どんどん先へ行ってふっと振り返ると誰もいない、ということが度々あります。思っていた以上に難しいですね(笑)
その中でも自燃人の比率が高くなれば火がつきやすくなります。
金子)つばさレシピにある「不燃人(なかなか燃えない冷めた人)」がいたらどうしますか?
猪股)もちろん不燃人もたくさんいらっしゃると思います。必ず全員自燃人かというとそうでない。人間ですからバイオリズムもあります。だから誰かの言葉で変化していくこともできるのです。
自律と連帯でかっこいい社長を100人生み出す
金子)つばさホールディングスが目指す理想の形は、つばさレシピには書いてあるのでしょうか?
猪股)「自律連帯」という言葉を書いています。雇用する環境も目まぐるしく変わっている時代です。昭和のように先が読める世の中であればセオリー通りにすればいい。
しかし、これだけ人口減で多様化している中で私たちは幸せになっていかなければならない。そのためには誰かに言われたからやるのではなく、自分が仕事への誇りを持ち、目指すことを信じ抜くことが大事だと思います。その環境を経営陣が作っていく必要がありますね。
金子)「社会に100のなくてはならない事業と100人のかっこいい社長を生み出す」とHPにありますね。「かっこいい社長」ってどんな人でしょうか。
猪股)元気よく大きな声ではつらつした人。物静かでも物事を深く考えて冷静に判断する 人。人によって定義は違いますが、共通しているのは仕事を通して自己実現をしたいと思っている人でしょうか。経済活動をしているからには儲けなくてはいけない。反面、資本主義の行き過ぎた流れの中で、お金さえあればいいかというとそうでもない。
自分なりの幸せが仕事を通して自己実現できる環境を作っていきたいですね。
金子)ドラッカーが「成功する組織」について、20世紀はピラミッド型と言っていましたが、21世紀になると形はフラットで、プロジェクトベースで情報が介在し進行していくと表現しています。稲森和夫さんもその状態をアメーバのようと言っていますね。つばさホールディングスも自律自走する会社ですから、繁栄のモデルと言えるのではないでしょうか。
猪股)そうありたいと日々努力しています。少子高齢化や後継者不足など時代は国難期であり、社会構造がスピードを増して変わっていく中で微力ながら貢献したい。
仕事を通して働くことが楽しい、未来が開けると思える魅力あふれる企業としてありたいですね。
金子)実際は自分の頭で考えない方が楽ではあるんですよ。指示を下さいという人もいる。決断や責任が生じるわけですから。
猪股)苦しいことから逃げずに商機を見出していくために、つまずいて転んでもまた立ち上がるというスピリットはどの時代も変わらないと思うんです。
金子)経験を積み重ねていってうまくいった時の喜びは違いますね。
金子)松下幸之助さんは新聞を持ってきてほしいと頼んだ塾生が持ってきた時に「中は読んだか?」と聞いたそうです。ただ渡すだけでなく中身を見て、こんなことが書かれていますね、と会話する。心をどうこめるかが大事だと。相手に渡す弁当も何でもいいわけでなくお客様によって選ぶのが仕事。「食べてみたか、試食したか?」となるわけです。
猪股)はい。物を届けて当たり前でなく、お客様の荷物を大切に運ぼうという想いを持っている人々が我々の会社で働いていることに幸せを感じます。
入社式は親御さんからの引き継ぎ式
金子)従業員の皆さんを大事にしていると感じますが、入社式でも変わったしかけをされるとか?
猪股)「大家族主義」と我々は言っていますが、入社式は親御さんからの引き継ぎ式と考えています。親御さんから大切に育てたお子さんを会社がお預かりするので、従業員は家族であると。なかなか重い言葉ですが、そう思って覚悟したいのです。
親御さんがどういう想いで育てられたか、ご本人に伝わるようなサプライズ企画をしています。
物心一如になるための山修行
金子)社長自らが器を大きくするために自己修行をしているとも聞いています。
猪股)3年前から山の行にどっぷりと浸かっています。
川越)装束も着るんですね。過去出演した方の中にも山伏がいらっしゃいました。
猪股)年に4、5回戸隠や近江に行っています。熊野も好きですね。気持ちが清浄になって山を下りて来ると経営する力が湧いてくる。ライフワークとして一番魂が喜ぶ時間になっています。
金子)社長としての器を増やしながら、モノと心の一致した経営をしていけるわけですね。
それでは改めて、猪股さんがリスナーへ届ける「明日への誓い」をしていただきます。
全放送、猪股さんの「明日への誓い」は公式HPでぜひご視聴ください!
https://audee.jp/voice/show/61101
番組の予告動画アーカイブはこちら!
猪股浩行代表取締役 経歴
1969年 3月 新潟県新潟市生まれ。高校卒業後、民間企業へ就職
1998年 2月 引越し事業を開始
2011年12月 高栄運輸株式会社の経営に参画
2016年 8月 株式会社カーライフサービス多摩車両の経営に参画
2019年 2月 つばさホールディングス株式会社の代表取締役に就任
*現職
つばさホールディングス株式会社 代表取締役
つばさロジスティクス株式会社 代表取締役
株式会社多摩フードサプライ 代表取締役
エイチディーエス株式会社 取締役