周りに影響を与える人を、私たちは「自燃人」と呼びます。東京・日の出町にある食品加工会社、多摩フードサプライに勤務する菅野さんもその一人。取締役として経営に携わる今の姿を、ご自身で「当時は想像していなかった未来」だと言います。菅野さんの意識を変えた研修との出会い、成長物語を追っていきます。
受け身だった自分
2015年、府中市にある精密機器輸送の会社に勤めていた菅野さんは、構内作業員として働いていました。特にキャリアアップ志向はなく現状に不満もなく働いていたそうです。転機が訪れたのは、「社内研修」でのこと。当時の社長から声をかけられ初めて研修を受けた時、講師が話す言葉のほとんどが理解できなかったのです。「ES=従業員満足」「CS=顧客満足」もその一つ。言葉が分からないと思考もストップしてしまいます。また自分の会社の「経営理念」と「行動指針」を言えないなど、衝撃と反省とともに悔しさがあふれ、涙があふれる帰り道となりました。
今のままではいけない
次の社内研修は1か月後。悔しい思いをした日から研修内容の復習を開始し、2日後には「経営理念」「行動指針」を暗記しました。むかえた研修2回目。復習したところは理解できたが、新しい学びにはやはり知らない言葉ばかり。「ダメだった」と思った時、講師と社長に「準備をしてきたね」「集中していたね」と褒めてもらうことができました。「認められる」、そんなシンプルで当たり前のことが大人になっても嬉しく、励みになりました。
自分発信で勉強会開催、知識のシェアが会社を変えた
「研修は会社のお金で受けさせて頂いている。だから受けて終わり、にはしたくなかった」と、社内研修終了後は同じ職場で働く従業員を誘い、勉強会を継続的に開催しました。その結果、意見を発信する従業員が増え、従業員一人ひとりが自分の職場での目標設定を書き上げました。トップダウンで動くのではない、小さな仕事から自主的にやる社風に成長したと思います。
職場環境の美化を目的とした5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけの頭文字Sをとったビジネス用語)活動では、道具の定位置を決めるためのケースを手作り。またBBQなどの交流会も始まり、従業員同士のコミュニケーションが活発になりました。私たちの行動指針「A:当たり前のことを B:バカみたいに C:ちゃんとやる」を意識できるようになりました。
精密機器輸送から食品輸送への転籍
2019年9月、グループ会社の多摩フードサプライへの転籍辞令。転籍当初の役職は未経験の営業企画。右も左も分からないところからのスタートでした。しかし、取り扱う商品は精密機器から食品に変わりはしたものの、保管から発送までの流れは今までの経験を活かせる職場。次第に評価を高めていきました。
現在では取締役に就任し業績管理を担っています。「大変さよりも、つばさホールディングスのグループ内での転籍のおもしろさを感じます」と菅野さん。会社を横断することでグループシナジーを肌で感じることができるようです。
経理一筋の鬼頭さんは「菅野さんは与えられた仕事を深堀りして、自ら知識を深めていく方です。『なんちゃって』が口癖ですがとっても真面目。知らないことも知りに行くあきらめない姿勢が従業員からの信頼を集めているのだと思います」と印象を語ります。
菅野さんにとって「なんちゃって」は大切にしている言葉のひとつ。思い出すのは高卒で就職した菅野さんが、同期入社の中でも短期間で成績を上げた時に周りから「あいつはなんちゃってだから」と揶揄された記憶。自分が会社から評価を得るたびに「奢らず謙虚になるための合言葉=なんちゃって」を自ら唱えます。
自分に満足せず地に足をつけて他より秀でる。持病と闘ってきた菅野さんの強さが、職場でも発揮されています。
若手のリーダー人財育成への期待
親会社のつばさホールディングスが新卒採用を始めたのは2020年から。初めての新卒社員は「0期生」と呼んでいます。2021年に入社した「1期生」が一人、多摩フードサプライにも配属されました。未来のリーダー人財として入社した彼らは、既に勤務している従業員の刺激にもなっています。
多摩フードサプライに入社した「1期生」 橋本さんの記事はこちら!
多摩フードサプライは「10の約束」を掲げていて、「あいさつ」「5S」「素直」「スピード」「確認チェック」、この5つは意識すれば守れる、徹底したいこと。今後のリーダー人財に求められるのは残りの5つ「プロ意識」「責任感」「チームワーク」「向上心」「感謝」だと思います。私自身は、今の会社の基盤を作り上げた方々が大事にしていた「あたたかみのある会社」でいつづけられるよう、「明るく楽しく 仕事は厳しく」をモットーに会社を育てていきます。
「みんなも自分も幸せにしたい」という、菅野さんの自燃人STORYはまだまだ続いていきます。
多摩フードサプライ
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