2001年創業の株式会社多摩フードサプライ(以下、多摩フードサプライ)は、主に量販店に向けたメーカー様からの食品をチルド・冷蔵・冷凍庫で預かり、発注に応じて毎日出荷をしています。また真空やリパックをする製造加工ラインを持っています。
2022年7月に代表取締役社長に就任した菅野友則さんは39歳。次世代リーダーの育成に力を入れる、つばさホールディングス株式会社の代表取締役 猪股浩行さんと共に対談形式で就任後の想いについてお聞きします。
誰もが自分の人生の経営者
菅野)39歳で社長になって一番変わったのは、自分の意識です。一つひとつの行動を今まで以上に気をつけるようになりました。商談先で名刺を差し出すと「お若いですね、おいくつですか?」と問われることも多くなりました。取締役の時まではなかったことです。外部から信頼感をもっていただけるように自分を律しよう、という心持ちです。
猪股)私は創業した会社を27歳の時に法人化しました。菅野さんは精密機器輸送から食品の保管や発送代行業へと、業界をまたいで活躍していますから、実力と運を携えて、さらに活躍できる環境になりましたね。
菅野)ありがとうございます。精密機器輸送会社では、構内部主任の頃から5S運動推進や業務改善を目的に、社員が自主的に働ける環境づくりをしてきました。多摩フードサプライに転籍直後は営業戦略としてスタートをきったばかりで、はじめは与えられたことをしていくしかない日々が続きました。
猪股)未来の経営者を育てる「ヒト☆ピカ経営・プレジデントスクール」に、菅野さんは1期生として参加していましたね。だから社長就任の辞令は予想していたのでは?
菅野)全員がなれるわけではないと思うのですが、社長になる覚悟でプレジデントスクールに入りました。「自分の人生の経営者」というスタンスで半年間学び、一つ学んだら一つ実践する「一学一践」を毎日続け、今でも継続しています。同期もそれぞれの場所で核となる職務に就き、今でも励まし合う関係です。
若手が権限をもち、今の時代に合った経営を
猪股)スクール卒業後3年で役員や代表者になる道筋があり、菅野さんはその通りに歩いてきている。私が何かを託すというよりは、菅野さんに権限をもってもらい意思決定をして、事業をとりまわしていくことに期待を寄せています。
どんな会社でも、働く人が幸せになりお客様に満足していただくことは一緒。依存し合うのではなく同じミッションで自律し連帯していきたいですね。
──多摩フードサプライに転籍した当時、会社の課題は何でしたか?
菅野)深くお付き合いしていた中間業者から脱退し、荷主様との直接交渉をどうするか、という時期の転籍でした。依存していた先がなくなり、ノウハウの拠り所も見つけられずにいる状況だったと思います。社員全員が「自分たちでやらなければいけない」と思った瞬間がありました。
猪股)発注システムも変えることになり、大変な時期でしたね。
一日でも長く続けることから
菅野)トップダウンでなく内部から変えたい、と思い委員会活動も始めました。社員発信で始まる取り組みがそれまでは3ケ月しか続かなかったのが、3ケ月と1日、半年、1年と、社員同士が意見交換をして続けられる環境になってきました。
猪股)一人ひとりが何を目指すか、会社の基本方針は何か。日々の当たり前のことをやりきることがどれだけ大事か。考えられるようになると、会社は輝きだす。
菅野)お陰様で新規法人との取引が増えてきています。ご紹介いただくケースも少なくなく、期待に信頼でお返しができるよう努めます。つばさホールディングスからも支援をいただき、現場は活性化しています。
人を巻き込む力が会社を変える
猪股)世の中の仕組みや制度が変わっている端境期で、多摩フードサプライも再構築を求められています。菅野さんはPDCAをよくまわし、人を巻き込む力のある人。妥協せずに色々工夫して改善し、失敗を恐れず挑戦できる人です。踏襲だけではつぶれてしまう時代ですから、前進力のある菅野さんにはチャンスではないかな。チャンスだらけは壁だらけでもあるけれど(笑)、期待値を超える活躍をしてくれると思っています。
菅野)ありがたいことに、悩んでいる時ほど周囲からアイディアや助言が集まってくるんです。仕事の環境だけでなく、メディアや家族の会話の中でさえも。自分は恵まれていると思います。
猪股)心を開いて謙虚な気持ちでいると、そういう情報であふれているものだよ。心に霞がかかっていると受け取れない。アンテナが立っているんだね。
食に関わる仕事はやりがいがある
菅野)人が生きていく上で食は欠かせません。人の健康や社会貢献につながっていて、食の需要を背負っている責任感はすごく持てる仕事です。またISO認証を通して食品や食の安全についての知識を深められます。従業員一人ひとりの意見を尊重し、皆で食の未来を考えていきます。
──パートと管理側とのコミュニケーションはどのようにとっていますか?
菅野)冷凍・冷蔵庫内やリパックの作業には社員も毎日関わります。パートさんと共に働くことで困っていることや、効率化のヒントが見つかり、委員会を中心に改善していきます。
猪股)産業構造が変わり、中小零細企業が経営を続けにくい時代になっています。労働時間を厳守しながら、DX、インボイス対応、顧客管理、マネジメントをするにはリソース不足です。しかし対応できた会社は中堅以上の規模に成長し、社会貢献を続けられます。会社は必要以上に大きくする必要はありませんが、発展し続けるのが原理原則。長時間労働をなくしながら労働生産性を上げる、ここに適応できるか否かが分かれ目ですね。
多摩フードサプライは小さいながらも基礎的な取り組みをしっかりしているので、この先も生き残っていく企業だと思っています。
──つばさホールディングスでは2020年から新卒採用を始め、リーダー人財の育成に力を入れていますね
猪股)後継者不足による廃業の危機にある企業が2025年に127万社になると言われています。経営力のある若い人財を育てて、つばさホールディングスとグループ、関連会社で101人の社長を生み出すことが長期目標です。
菅野)これまでの新卒社員は、その意気込みのあるメンバーが集まっていると思います。リーダー人財として採用された彼らは、経営に携わる人財という前提で仕事を覚えていきます。若い世代にどんどん活躍してもらい、元気な日本を共に創ることを楽しみにしています。
猪股)つばさホールディングスの発展は、社会の要請に真摯に向き合うことにつながっています。社会課題の一隅を照らす企業となり、全国から視察に訪れるモデル企業を目指してグループと連帯していきます。
多摩フードサプライでは新しい仲間を募集しています!
https://www.tamafs.jp/recruit/
多摩フードサプライ
https://www.tamafs.jp
つばさホールディングス
https://tsubasa-holdings.co.jp/