ここ数年で、物流が私たちの生活に欠かせない社会インフラの一つだと、あらためて注目が高まっています。多摩地域に拠点をおくつばさロジスティクス株式会社(以下、つばさロジスティクス)は食品輸送と精密機器輸送を担っています。大手酒造メーカーを早期定年退職し2021年10月に参画した、つばさロジスティクス取締役 経営戦略本部長窪田圭吾さんにお話しをうかがいました。
大手から中小企業への転職
入社から退社まで、大手酒造メーカー一社に勤務。勤続34年の中で30年近くは物流に関わる仕事で、その他に経営企画と営業企画の仕事にもたずさわりました。私の勤めていた会社では55歳以上の退職は定年退職扱いとなり、転職支援として半年間の休暇を与えられます。その期間にエージェントからの紹介で猪股代表とご縁をいただき、今回参画させていただきました。
自分の頭で考え、行動する
ミッションが初めから決まっていたわけではなかったので、入社後は現状把握と課題抽出を自分なりに行いました。猪股代表の言う「自分の頭で考え、行動する」ですね。
まず、経営戦略室の本質的に果たすべき役割「ミッション」と、具体的な職務分掌規程を作り、その後社内の規程整備に着手しました。つばさロジスティクスは単年度の事業予算と経営羅針盤の目標はありましたが、将来のありたい姿と中期的な戦略課題の設定が必要と感じ、拠点長や取締役と会議を重ねます。そして規程整備と中期戦略の2本立てで、当時入社1年目の新納さんと共に半年ほどかけて事業計画を作りました。10年先は大きく社会が変化する可能性があり不確定なので、中期戦略は1年後、3年後、5年後の期間で策定しています。
自分なりに役立つ領域で活躍する
50代でも経営企画や人財育成にたずさわりたい、給与にも妥協したくないという気持ちが強かったので、大手企業からの早期定年退職はだいぶ前から決めていました。つばさロジスティクスではこれまでのキャリアを活かせる領域があると感じています。自分で選んだ職務ですから、しっかりと務めたいと思っています。
安全と利益は共鳴しあう
今年度に入り、事故撲滅のための安全衛生本部を立ち上げました。現状把握をするなかで年間の事故件数が決して少なくないことに注目します。つばさロジスティクスの理念は「安全は何よりも最優先される」ですから、理念と実態が伴っている必要があります。コンサル会社であるインターリスク総研株式会社の、運輸安全マネジメントの監査を受けて現状の課題を再認識し、本部立ち上げに至りました。
事故撲滅は短期間の取り組みでは難しい。中長期で計画を立てています。安全という信頼は商品となり、会社の利益につながっていくと思っています。
若手ドライバー育成が今後のカギに
並行して取り組むのは若手ドライバーの採用です。つばさロジスティクスでは今年から高卒採用をスタートしました。運送会社の多くは新卒採用をする発想はなく、学歴職歴は問わず常時募集をしています。ドライバーの人手不足や高齢化問題について、入社2年目の小谷野さん、高倉さんが昨年インターンシップ提案をしたことがきっかけとなり、着手したという形です。高卒採用は若い労働力の確保だけでなく、会社にますます活気があふれることも期待しています。
見直されている物流業界
会社組織ではこれまで営業やマーケティングが花形だったり、技術職や開発部に日が当たりがちですが、ここ数年で物流に対する注目度が増していると感じています。前職では、コロナ禍に物流部署への感謝の言葉が増えたことなどからES調査で物流部門のスコアが大きく上がりました。新卒の面接をしていても、社会生活に欠かせないインフラである物流業界に興味があると話す学生が、明らかに増えていました。
もともとつばさロジスティクスは、魅力のある物流会社として他と差別化を図ってきました。「ああいう会社で働けたらいいな」「働いていて良かったな」と思われる会社になる一翼を、私なりに担っていきたいと思います。物流にこだわらず地域貢献をさらに拡げていき「多摩地域といったらつばさグループ」と認知されて、視察に来ていただけるような魅力あふれる会社を目指しています。
窪田圭吾(くぼたけいご)プロフィール
つばさロジスティクス株式会社
取締役 経営戦略本部本部長
神奈川県出身 宅地建物取引士、マンション管理士、日本ソムリエ協会認定・ソムリエ
1987年 麒麟麦酒株式会社入社
物流関係の業務を中心に34年間勤務して2021年秋に退職
その間キリン・シーグラム(株)、キリンホールディングス(株)、キリングループロジスティクス(株)などのグループ会社に出向し、マネジメント職を経験
つばさロジスティクス株式会社
https://tsubasa-logistics.co.jp/