土地や道路、交通、気象や観光など幅広い政策を担っている国土交通省。その中にある自動車局貨物課は、トラック行政を所管する部署として、トラック運送業に関するさまざまな課題に取り組んでいます。
国交省とは
国土交通省は、2001年1月の省庁再編で、当時の4省庁(運輸省、建設省、北海道開発庁、国土庁)が統合されて誕生しました。東京・霞が関にある本省のほか、全国に運輸局や整備局などの地方組織があり、全国で約37,000人の職員が働いています。
自動車局貨物課の役割
国土交通省自動車局に属している貨物課の主な仕事の一例を紹介します。
トラック運送業は、労働時間が全職業平均より長く、また、年間賃金についても全産業平均より低くなっています。さらに令和6年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることから、平成30年に改正された貨物自動車運送事業法に基づき、標準的な運賃の浸透や荷主等への働きかけの実施を通じて、トラックドライバーの労働条件改善や取引環境の適正化を図っています。
トラックドライバー不足解消へ向けて
トラック運送業界では、トラックドライバー不足が深刻化しています。この状態が進行すると配送価格の高騰、物流業界の人材不足から、店舗や家庭へ物を運ぶことが難しくなるおそれもあり、私たちの生活にも大きく影響してきます。
「ホワイト物流」推進運動
こうした負のサイクルが加速しないよう、トラックドライバー不足を解消するために、ドライバーの労働環境改善などを目指す「ホワイト物流」推進運動の取り組みが平成31年から開始されました。
「ホワイト物流」推進運動の目標は、国民生活や産業活動に必要な物流を安定的に確保するとともに、経済の成長に寄与することです。国土交通省のほか、経済産業省や農林水産省も協力して取り組んでいます。
「ホワイト物流」推進運動の目的
〇トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化
〇女性や60代以上の運転車等も働きやすい、より「ホワイト」な労働環境の実現
この運動では、法令の遵守など必ず守るべき3つの必須項目に加え、事業者の任意項目として、以下の推奨項目を設けています。
A.運送内容の見直し
B.運送契約の方法
C.運送契約の相手方の選定
D.安全の確保
E.その他(宅配便の再配達の削減への協力、引越し時期の分散への協力 他)
F.独自の取組
「ホワイト物流」推進運動への参加により期待できる効果
・業界の商慣行や自社の業務プロセスの見直しによる生産性の向上
・物流の効率化による二酸化炭素排出量の削減
・事業活動に必要な物流を安定的に確保
・企業の社会的責任の遂行 等
国土交通省における2022年度の取り組み
〇アンケート調査等の実施
2019年3月から始まった「ホワイト物流」推進運動の賛同企業数は、現在1472社(2022年9月末時点)。活動開始から3年が経ち、自動車局貨物課では、賛同企業に対して本運動への効果と推奨項目の取り組み状況について、アンケートなどの調査を行いました。その結果は、今後の取り組みへの参考となります。
また、初めての試みとして、自治体が運営している支援施設と協力して、物流業界・トラック業界の紹介や参加企業との交流会などを実施し、若年層に向けた就職支援にも取り組みました。
つばさトラック事業協同組合と国土交通省との関わり
つばさトラック事業協同組合は「ホワイト物流」推進運動に参加し、2020年には「自主行動宣言」をしました。宣言では、6つの取り組み目標を掲げて活動をしています。
引用:つばさトラック事業協同組合『「ホワイト物流」推進運動 持続可能な物流の実現に向けた自主行動宣言』
2021年には、国土交通省自動車局貨物課主催のセミナーにおいて講演。「ホワイト物流」推進運動の取組事例や「つばさメンタル※の開発」などの取り組みについて発表しました。同運動がきっかけとなり、つばさトラック事業協同組合は2024年問題の対策商品の開発にあたり、国土交通省とも情報交換をしつつ進めています。なお、2022年においても、同セミナーの講演を行うことになりました。(11月29日・オンラインセミナー)
※トラックドライバーのメンタル状態とデジタコデータ等の連携で事故や危険運転を防止するためのメンタル数値
つばさトラック事業協同組合への期待
自主行動宣言の中で同組合は、特に「標準的な運賃」「パレット化の推進」「荷待ち対策」への取り組みを推奨しています。
また、経済産業省が2022年3月に行った価格交渉促進月間のフォローアップ結果によると、トラック運送は業種別ランキングにおいて「価格交渉の協議状況」で26位、「コスト上昇分に対する価格転嫁状況」では27位と、どちらも低い順位結果となりました。
引用:「価格交渉促進月間(2022年3月) フォローアップ調査の結果について」(中小企業庁)(https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220622002/20220622002.html)
本組合には、「ホワイト物流」推進運動の一層の推進、周知や荷主と事業会社の交渉や標準的な運賃の原価計算等、経営ノウハウの伝授などを通じ、トラック運送業における労働環境改善や取引環境の適正化へ向けた取組への支援を継続し、さらに高めていくことが期待されています。
「ホワイト物流」推進運動ポータルサイト
https://white-logistics-movement.jp/
つばさトラック事業協同組合
https://tsubasa-truck.or.jp/